3)土壙墓

3)土壙墓(第20・25図)

主軸を東西方向に向ける。長軸約0.95m、短軸約O.81m、深さ約0.13mを
測る。検出面のプランは隅丸方形を意識して、面方向を胴張り状にした変則的な形態と
なっている。底面はほば平坦で、東部に向かって少しずつ高くなっている。側面は斜め
方向にゆるやかに立ち上がる。

遺物は遺構東部の左側に切先を西に向けた小刀が1口、右側手前に青磁碗、その奥に
青磁皿が1枚づつ主軸方向にたてにならんで検出された。

これらの状況から、この還構は墓と考えられるが、クギや木材等の遺物は出土しなかっ
たため、埋葬方法については不明である。

遺物の出土状況や床面の高まりが東部にあることから、頭位は東方向にあると推測され
る。

土壙墓出土遺物(第26図)

1は龍泉窯系青磁碗である。口径16.7cm、底径6.4cm、器高6.8cmを
測る。色調は淡縁灰色。器形は底部から口縁部に向かって内湾し、口縁端紺わずかに
外反する。釉がかりは高台部分まで施釉される。外面は無又でめるが、体部の屈曲部
付近には仕上げ削りの際についたと見られる細い刻み目が存在する。

内面は口縁屈曲部より少し下位に沈線があり、その下部と見込み部州こ草花文を施して
いる。また、高台の内側には、花押とみられる墨書がみられるが、薄く解読はできな
かった。

2は龍泉窯系青磁皿である口径11.5cm、底径5.5cm、器高2.8cmを測る
。色調は淡緑灰色>底部は上底状となり・外面は底部から口縁部の間に稜が入る。

ここから口縁端部までゆるや洲こ外反する。釉がかりは外面納こ施釉され、内面底部
には櫛描文が施されている。墨割よみられない。

3は小刀である。柄の端部が欠損するほかはほぽ完形で残つている。残存長37.0
cm、刃渡27.2cmを測る。背部より切先付近まで真っ直ぐ延び、切先付近で刃部
こ向かってわずかに曲がる。柄には目釘穴が1孔あり断面は刃部側が細くなっている。

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