**44 姫塚古墳 **
新 日田の文化財 44 姫塚古墳
南高瀬の台地に以前あった古墳は、水田開発の際に失われて、残っているのは
惣田塚古墳(第十九回)と、この姫塚古墳だけである。
姫塚古墳は高瀬保育所の裏にあって、かつては三隈川が下の臨まれたが、今は四囲を
住宅に囲まれてしまって、荒廃が進み、原形はほとんどわからなくなっている。
しかし、この古墳は五世紀の古墳で、上下二重の竪穴式石室をもつ、例の少ない
貴重なものである。
墳丘は、もと直径十メートルを越えていたと思われるが、昭和六十二年の周辺調査
でも、遺溝は確認できなかった。
実際に石室を見た人の話では、内部に人骨があったということで、頭骨は、鑑定に
よると壮年男子のものだったという。この地方の首長だったのだろうか。
ほかに、鉄鏃、土器と剣二振りが出土している。一つは柄の頭が円い環になっている
環頭の剣。
もう一つは蛇行剣といって、文字どおり蛇のくねるように、刀身がゆるやかなS字状
に曲がっている。祭祀などの特別な用具だろう。先端部と基部が欠けていて、長さ三十
八・八センチメートル。九州でも珍しい剣である。
姫塚古墳は、日田では最古の古墳の一つで、特異性を持つので、周囲の環境変化から
保存を図りたいものである。
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