掛け軸 書 平野五岳 9

憶旧 早辞猿鶴遂鯤鵬 万里久成行脚僧 回憶十年湖海迹 空山夜雨一青燈 猿や鶴のような平凡な鳥獣になぞらえている私は 早くから鯤や鵬のような巨大な存在を追いかけることは 止めて、万里の行程を行脚する修行僧となり長い年月が 過ぎた。 この十年間の世に残した足跡を回想すると、誰もいない 寂しい山道の夜雨の降る中で、一つの青い燈火を見出した喜びに象徴される修行に明け暮れた日々であった。 訳は五岳上人詩集より