** [淡窓 先生]シリーズNO.14



[そのご恩にむくいる道は,ほかにはない.ただつとめて徳(ひそかな良いこと)をつむ ことだ.]と思いました.

◎ 心に無用(いらぬ事)の理を思わず

◎ 口に無用      の言をはかず

◎ 身に無用      の事をなさず

と深くいましめ,ひたすら天を敬い,ひそかに一万善(良い事から,悪い事を引いた残り の良い事が一万)の修行に入っていくのでした.

そして六十七才,ついに一万の善をつみ,天にその徳をささげることができました. {敬天}それは淡窓先生にとっては,のっぴきならぬ道でした.

天を敬い,天をおそれた先生は,一杯の水もおろそかに飲めば●でした.腹をたてても, 天をあなどるものとして●●でした.それはてきめん先生の命(病気)とつながっていた からです.

 人をとうとび,生き物をあわれみ,教育にまことをつくすことは,天の喜びたもうものと して,○○○でした.天は先生にとっては,生きたものだったからです.

その後,塾のことは,弟旭窓(ぎょくそう),つづいて林外(りんがい)にと,つぎつぎ にまかせていきましたが,淡窓先生のひそかな徳は,ほのとしてかおり,宜園にゆかしく ただよいました.

 安政三年十一月一日.先生は,

あかあかと ひはつれなくも 秋の風

とともに,七十五年のきびしい一生を,秋風庵におえました.



  ああ 淡窓 先生            終わり

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