女性の時代
自分の夢に目覚めた私は、つつがなく家事をやって、子どもを育て老親を看取り、
自分も子どもや孫に囲まれて、平和な人生の幕引きをすると言うシナリオを書き換
えつつあります。
そんな事を、友だちに言うと「その考えは、主婦としては危険思想だ」だって!

そして、いままで築いてきた物や、考えを大事にしないといけないなんて説教されます。
「いまは、親への気遣いや家業に縛られている不自由さで、我慢できないかもしれないけ
ども、きっといつかは報われる時がくるよ!」と、慰められます。

そして、親、夫、子どもを振り捨て、不倫の恋を貫いた人の悪口を散々言い、
親を捨て、核家族で楽しんでる人たちがどんなに自分勝手な人たちであるかなど
切々と私に言います。

でもちょっと、待ってよ。一般論として聞いてよ!

こうなりたいとか、こうしたいっていう気持ちを抑えて、我慢して暮らしてるほうが幸せ
になれるっていうわけ?
世間の目ばかり気にしてやりたいこともせず、毎日をただ漫然と暮らしているだけの生活
が幸せなんですか?


子どもを育て、自分のことより家族を優先し年取っていく自分を見つめなおした時、
「このまま終わるのは絶対いやだ」って思ったことがそんなに、危険思想で、自分勝手で、
悪いことなの?

嫁、奥さん、お母さん、これが結婚してから私についた呼び名の数々。
私の名前はどこにもない。○○さんとこのお嫁さんとか××ちゃんのお母さんとか。
そして今後は、○○さんとこのおばあちゃんってか!冗談じゃないよ!

最後は、新聞の「お悔やみ」欄の私の名前を見て「あのおばーチャン○○子って名前
だったの!」ぐらいなことかもしれません。

戦後、右肩上がりの高度経済成長期、男達はみな企業戦士でした。
女は、結婚こそが幸せでそれ以外の選択肢は無いに等しいような状態でした。
そのころは専業主婦って女性のかなりの人があこがれる存在だったみたいです。

「結婚するならサラリーマン」「家付き、カー付、婆バー抜き」なんて言葉がありましたよね。
高収入、高学歴、そして背が高いそれが結婚の条件だなんていって「3高]なんて
言葉も聞きました。
そのころの「女性」は、職業を持って働くことより夫に依存し生きていく事のほうが
幸せであり、その条件としてこんな事を言ってたんでしょう。

仕事や学校から帰宅する家族を、温かく迎える中心に自分を据え、(あくまで主役は自分なんです)
数々の電化製品に囲まれ、やさしく仕事ができる夫、出来の良い子ども達、
夕餉を囲む家族の笑い声、「こんなことがあったよ」「きょうねー・・・」なんて、弾むおしゃべり。
家族のためにおいしい食事、清潔で心地よい家、健康に心を配り、家族に安心と満足を与える、
(お母さんは、太陽だったのです)確かにそれは、幸せのひとつかもしれません。

最近になって、女も職業を持ち、いろんな生き方が選択できるようになってきました。

でも、結婚こそ女の幸せ、夫唱婦随と言う考えの人は、いまだに根強く残っています。
特に、年配の人たち(家の母たちの年代はまさにそうです)にはかなりいて、女が自立して
生きていきたいと考える時最初にぶつかるのはこの壁です。
「自分を出さずに、家族のために」頑張ることが美徳と思っているから、食い違ってしまいます。

頭から、女の幸せは、結婚でしか得られないって思ってるわけですから、
仕事をして頑張っている女の人をみる目は冷ややかで
やったことに対する評価も、成功した人に向ける目も偏見に満ちているような気がします。
「女だから、できるはずがない」「女のくせに、よく出来たねーー」・・・・・。
女がえらくなってもしょうがない、そんな風に思っている感じです。

私たちの年代の女の人が一番悩んでるのは、子育てにしても、老人介護にしても、
重たい荷物を背負わされるのはいつも女のほうだって言うことです。
男は、ついこの間までは、ただ仕事に打ち込んでるのが良いとされていましたから、
家庭のことは妻任せ。だんだん老親の介護に大変な時期がきつつあります。
それをひとりで背負わされるって、堪んないよ−−!
家族って、お互いが助け合っていくものなんじゃないの!

子どもが自立し巣立ってしまうと、家庭は主役を失ったようになりました。
幸せの象徴だと感じていた、ホームドラマのような食事風景はどこへ行ったのでしょう。
都合のいい時間に、それぞれが居間に来て食事が終わるとさーっと自分の部屋へ。
まるで、食堂のような風景になってしまいました。
食事中におしゃべりすることも無く、面白いといって笑うことも無く、目線の先はTV画面。
家族って、これでいいんだろうか!これが結婚して得られる幸せなの?
散らかった、台所を片付けながら私はため息をついています。
何かを成し遂げたと言う達成感も無く、次々にやってくる雑用に追われてる自分に。

いくら自立したいと頑張ってみても、これから必要になるであろう、老親の介護の問題
家族に対する責任、そして自分自身の能力、どれを取ってみても前途多難です。
それに、私が外に出て行くと、いろいろな意味で私の家族は困ってしまいます。
今まで私がやってきた家事をはじめとする雑用をやる人がいないのです。

皆が私を、ただ家事をやってくれる便利な人っていう風に思ってるんじゃないかって、
最近はふっと、寂しくなります。

これから、自分の夢を叶えていきたいって思うからには、家族の意識改革がやらねばならない
第一の関門のような気がします。


いまおもえば
この頃は被害者意識が強くって、「何で私ばかりが・・・」 なんて思ってましたからねー
今現在、好きな事をして適当に家族に迷惑かけてます!



メルマガに寄せられたコメント
2000/11/03 20:21:31 ふうみん さん
いつも楽しみにして読んでいます。同じ40代です。
私の場合、主人とは再婚ですし、子供も東京の大学へ行ってしまいましたので、
毎日遊んでおります。
元より嫁でなく(主人の親族は結婚には反対でした)
母の務めもおおかたすんで気楽です。
40代から楽しく自分の為の時間を持たなければ・・・
(だから不倫に繋がるなんてうそ)・・・これから先が永いんだから。
頑張ってください。