おせち料理
暮れになりました。街路樹につけられた電飾がクリスマス、そしてお正月が
近いことを知らせます。
主婦にとっては、大掃除やら数々の雑用で忙しく一番嫌な季節到来です。

毎年この時期になると、TVや雑誌はおせちの特集を組みます。
いわく、伝統料理を伝えましょう、今年こそ作ろうおせち。
私も、数年前まではおせち料理に燃えていました。
我が家の伝統を伝えなくては!・・・なんて大上段に構えてね、
勿論、そんなかたっくるしいものはないのですが。

子どものころは、お正月が近づくとワクワクして友達と遊ぶ気にもならず、
忙しそうにしている大人たちのそばでお手伝い、それもうれしい
お正月関連の行事の一部でした。
そんな中で、おせちというお正月だけの料理があること、またその料理には
どういった意味があるのかなどを覚えていったような気がします。
勿論、ちゃんと教わったわけではないのですが・・・

昆布巻き、酢の物、紅白茶巾、梅酒羹、勝ち栗、田作り、鯛の姿焼き、
キンピラ、がめ煮、菊花かぶ、黒豆、煮しめ、数の子etc
大人になってから、お正月料理には各地でさまざまなバリエーションがあり、
各家庭でも少しづつ違っていることを知りました。
だから我が家風って言うのは、私しか子ども達に伝えられないのですよね。
そんな私の気持ちを知ってか、知らずか、子どもらはこういうのです。
「お正月なんて、だいっ嫌い、だって食べるものがない!」
えー、そ、そんなー!

子どもらにとっては、お正月の儀式料理は地味で、まずく、縁起物だという感覚
もわかりづらいのでしょう。
うちの子ども達は、お雑煮さえ義理で食べています。
お雑煮も我が家では、縁起を担ぐ具に色々な意味をもたせて、おもち以外に
末広がりの8種類を入れています。
これだけでも、我が家風って言うのを受け継いでほしいんだけどなーー

こんな状態ですから、お正月の片付けをする段階になって
「ウーーン、もうーー!来年から作らないぞーー」と私は一人腹を立てます。
その結果が「すっかり手抜きおせち」になってしまったのです。
子どもが食べそうにないものは、作らないか、または飾り用に(?)
すこし市販品を買い品数をあわせて、はい!できあがりー。
そして、子どもらが喜びそうなハム、サラダ、肉類などを用意する
ようになってしまいました。

おせち料理って誰のための料理なんだろう、そう思ってしまいます。
おいしいといって食べてくれる人があればこその料理であるはずなのに・・・
第一、食べづらいって思いません!
重箱の中にきれいに並んでいるのを壊すのって、
ついつい箸が止まります。
鯛の姿焼きなんて食べるのがはばかられます。目立たない所を、
すこーしだけつつくように食べるのって骨が折れますしね。

今は、暖房もあって部屋の中は昔ほど寒くはありません。
おせちも2日目ともなるとそろそろ、足の速いものは処分しないと
いたみ始めます。
そうなる頃、やっと捨てるのはもったいないからと食べるんです。
あーあ、主婦っていやですねーー。

田口ランディさんが娘に伝える事の意味について、
こう書いておられました。
「生活文化は女しか伝えられない、人は形を伝えることで
別の何かを伝承する。それを文化と呼ぶのだ」と。

今年はおせちどうしょうかと迷ってます。
いままでのように、「すっかり手抜きおせち」でやるか、
それとも文化の伝承(?)のために
我が家風(というより私流)のおせちを作るか・・・。

デパートや、有名料亭、ホテルなどいろいろのお店が、
いろんなおせちを作って売る時代です。
TVや新聞広告など写真つきで宣伝しています。
豪華なイセエビや珍しい料理が、立派な重箱に収められ、
一セット数万円也。
最近は、こういうおせちを頼む人が増えているそうです。
だって、おせち料理って結構手間隙かかるんですよね。
しかも、お正月でもお店は開いていますから、
食べたいものがあれば、買いにだっていけます。
お正月には、母親が作った「おせち」それしかなかった昔に比べると、
今は家で作ったおせちってナンカ、影が薄いような気さえします。

だけどこのままでは、私が受け継ぎそして私流も入って
幅が出てきた(?)我が家のおせちが途絶えてしまう!
よし!こうなったら、徹底的にこだわってやろうと思いました。
料理を華やかなお正月用の器にもり、「とそ」を
酌み交わす厳粛な朝であるという雰囲気。
新年の挨拶をかわしながら、心改まる雰囲気も守っていこうと
おもいました。
(このときばかりは新春特番ばかりのTVを消して、みんな
まじめな顔をして、今年の目標なぞいわせたりして・・)
出したり、仕舞ったりするのがめんどうだと思って使うのを
たじろいでいたお正月用の器も、出そう、
重々しい新年の儀式のために!
新たな気持で、自然と気合が入るような元旦の朝の食卓を
演出しようって!

お母さんの新年にかける気合を、こういったことで示そうって
思いました。
できるだけの事をして、ほんのちょっとでもいい
子ども達に伝われば・・・
これから、巣立っていく子ども達、今後どこで、
どのような暮らしをするかわからないけど、お母さんの味、
我が家の味、お正月の風景、それらをお正月がくるたびに、
思い出すように。
それが子どもらに私が残せる「私の生きた証」なのかも知れない
と思っています。
さあー、来年は21世紀の幕開けです。
21世紀最初の食卓に何を並べるか、専業主婦の腕の見せ所。
よし!気合を入れて、頑張るぞ・・・と思ってはいるんですが、
乞う、ご期待です。

<我が家風お節>