ツバメの子育て

3月下旬からあわただしく、季節の移り変わりを感じる余裕すらなく
すごしていました、気がつくと5月です。
すっかり初夏の様相に変わってしまっています。

我が家の玄関の上のほうに毎年ツバメが巣を作ります。

上の部分がまだ乾いてなく、一寸黒っぽかったりする巣には
卵を産みつけたのかもうしゃがみこんだツバメの姿。
湿っぽい巣じゃ、よく温まらないんじゃないかなーなんて
余計な心配しながら見守ります。
何日かすると、卵の殻が下に落ちてたりして「あー雛がかえったなー」
って解ります。
雛は見る見る大きくなって行きます。

そのうちに巣からこぼれそうなほど大きく羽もはえそろった雛は
巣立ちの日を迎えます
巣のふちに止まってしきりと飛び出しそうな様子が見えます。
でも、鳥だって勇気がいるのか、なかなか飛び出せません。
だってそうだよね、初めて狭い巣から
広い大空に飛び出そうというのですから!
親たちは近くの電線に止まって見守ります。
私が見てると、しゅーっと急降下してきます。
威嚇して追い払おうとするかのように。
親たちは、飛び出せずにいる雛たちに何回か巣から近くの電線に飛んでみせます。
そのうちに一羽が思い切って飛び出します。
そして、何事もなかったかのような顔をして、巣の近くで休んでいますが
やがて、どこかへ行ってしまいます。
雛は次々と巣立っていき最後の一羽が飛び立つと、親たちもどこかへ行ってしまいます。
もう巣へは戻ってきません。
ツバメの子育て、潔いと思いませんか!
空っぽの巣を見上げながら、私は何時もそう思います。

我が家にも巣立ち間近の雛鳥がいます。
でも、親も子もいまだにべったりの蜜月です。
来年3月には、高校を卒業して親元から自立していかなければいけません。
子供のほうは一人で暮らす気楽さ、自由を楽しみにしているところがあって
心待ちにしているようです。
ちょうど、巣のふちに止まって外を眺めている雛のように・・・
怖いけど、飛び立ちたいって・・・

私はと言えば、一寸複雑です。外から見守るツバメの母さんの心境には
なかなかなれません。
ついつい口出し、手出しをしてしまいます。
何時までたっても、子供は子供で安心できないのです。
転ばぬ先の杖どころか、転びそうだからおんぶしたい心境。
子供の巣立ちを促すどころか、後ろから支えてるつもりで引き戻してる感じです。
生きていく智恵は教えてきたかしらとか、人とうまくやっていく方法は
伝えたかしらとか・・・
親の後姿を見て育つって言うけど、私の後姿はどうだったかしらねー
なんか不安がいっぱい、自信ありません。

私の親はどうだったのでしょう?
私が大学に入り、一人で生活を始めると決まったとたん
生活のこまごましたものを買い揃えてくれました。
にもかかわらず
あれが足りないだろうとかこれが必要だろうとか言って
ちょくちょく荷物は持って出てくるし
あれや、これやと注意事項を電話や手紙で言ってくる!
私はと言えば、「こんなものなくても良いのに」とか
「ほんとにモー、うるさいな!」
「子ども扱いして!」なんて思ってました。

今となってみれば「親の心子知らず」です。
子供をあれこれ思い心配する気持ちって、子供がいくつになっても
変わらないのかもしれません、ツバメのようには行きません。
それが自然なのかなー、それが親なのかなーそう思っています。
じっーと、手を出さずに見守るって簡単なようで難しいものだと思います。
でも、親が何時までも支えつづけるわけにはいかないのですから
いつかは一人で飛ばなくてはいけないのですから・・・
せめて、私は自立の足を引っ張らないようにしようと
思っています。子供の智恵を信じて見守りたいと思っています。

その後

玄関上のツバメは、子育てを2回やって今はもういません。
来年の春に、またやってくるでしょう。
でもそれが、子供達なのか、それとも親のペアなのか
はわかりません。でも良く覚えているなーって感心してしまいます。