つみきの家
明るいクリーム色をバックに描かれる、おじいさんの今の暮らし、
そして、過去。
あるアクシデントをきっかけに深く深く過去をたどることで
おじいさんが自分の人生を、改めて胸中に収める。
その、ひとつひとつの思い出が読み手の胸に迫る。
誰の人生にもある、ささやかな、けれど忘れ難い思い出。
誰を愛し、どんな暮らしをし、どんな家庭を築いたのか?

海がせりあがってくる家は、不安定で不確定な浮世のようだ。
決してこの家を離れず、住み続けるのは、生きる覚悟だ。
水面下の家は意識下の世界のよう。
深く深く海底に積み重なった家は、おじいさんの人生であり、 生きた証。
愛し愛された人生。かけがえのない「ひとり」と出会い、紡いだ人生の奇跡が
切なく温かくこころ打つ物語。